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【読んだ】新書太閤記(吉川英治)

2016年11月15日

吉川英治が豊臣秀吉を描いた太閤記。

三国志を読み終えた流れで吉川英治づいてきたので読んでみました。

豊臣秀吉の出世物語。テンポ良く、読んでいて心地よい。人物の心情が美しく丁寧に描写されていて、惹きこまれる。

冒頭から秀吉の誕生日が申年正月という伝説を採用してみたり、割とご都合主義的な設定や流れだなと感じるところもあり、まぁまぁ美化されている印象(まぁこの手の小説では当然のことだと思うが)。その分、ストーリーが面白く展開していくので、文章の上手さと相まって、どんどんと読まされてしまう圧倒的な力がある。設定に関しては、史実かどうかという視点よりも、諸説あるなかから一番物語が魅力的になる説を採ったのだろうか、と想像。

物語自体は徳川家康が上洛して秀吉に臣下の礼をとるや否や、みたいなところまでで終わっており、最後が打ち切り状態で尻切れトンボなのが残念。太閤記は一般にこの前後で終わることが多いくさいのだが、個人的にはゼヒ朝鮮出兵や秀吉の最期まで、吉川英治がどのように描くのか読んでみたかった(そのうち故人の小説の続きを書くAIとか出てきてくれないだろうか)。

また、戦時中に執筆されたということで、その影響を受けているのか、もともとの思想もあるんでしょうが、なんとなく忠孝的思想が必要以上に強調されているように感じた。

どこかで「今でいうラノベに相当するのが当時では吉川英治とか」みたいな主張を見たことがあって、そう言われてみると本書の末尾にある解説とかに寄稿している執筆陣も割と中学生ぐらいで吉川英治にハマっていたようなことを書いている気がする。

たしかに、精神修養的な意味合いでも高いレベルにあるのだろうけど、これはラノベのごとく純粋に娯楽として楽むのが正解ではなかろうかと思う。そのくらい、本書の読後感はシンプルに「面白かった!」という感想に集約されるように思う。

どうでもいいけど登場人物の顔がことごとく花の慶次で脳内再生されてしまった。なんだかんだジャンプに育てられてきたのだなということを感じるのであった。

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