Adobeセミナー参加レポート/PDFのセキュリティや活用方法&フォントのライセンスなど
Adobe製品のセミナーで、(1)PDFのセキュリティなどAcrobatの活用方法と、(2)フォントのライセンスなどを学んできました。セキュアな書類作成や、受発注フローを改善したり、制作物のライセンス関連トラブルを防ぐなど、いわゆる守りの知識を強化できたと思います。自身のメモ&情報共有にまとめます。
これです↓
すぐ役立つ!ドキュメント制作コミュニケーション術(大阪)|株式会社ボーンデジタルセッション1:PDFの活用
Adobeの荒川涼子氏によるAdobeAcrobatを活用したPDFの活用術のセッション。デモ多くて分かりやすく実用的でした。
自分の業務では提案書類や契約関連の書類でPDFを扱います。うまいこと活用すれば、特に契約書等ではセキュリティを強化したり、受発注のフローをより安全でスムーズに改善する余地があるかなと感じました。
PDFについて
- マルチデバイス化の中で、OSやデバイス、ソフトのバージョンに関わらず元文書の再現性の高いPDFの重要度は上がる
- 作成しただけでは編集できる
- 作成ソフトによって品質が変わる
- 情報コンテナ機能+セキュリティ機能
- PDF化のメリット:再現性・長期保存・検索できる(画像との違い)
PDFのセキュリティ
発信するときの注意点
- PDFをAcrobatDCで右クリック→「文書のプロパティ」の「セキュリティ」タブを確認
- デフォルトで(たぶん)文書の制限が諸々「許可」になっていて、PDFに固めていても改竄することができる
- 文書の作成者情報(コンピュータのアカウント名?)や、場合によってはメールアドレスも入っているので、個人情報漏洩やセキュリティ上の問題もある
- AcrobatDCの「保護」ツールで編集の制限やいらない情報の削除ができる
- 毎回ポチポチと作業しなくても、アクションウィザードにいつもの作業を登録してワンクリックで処理できる
某社のIR文書のPDFのプロパティを確認してみましたが、社内で作成してるっぽい文書はすべて編集許可の状態になっていました。IR支援みたいな会社に依頼して作ってる株主向け報告書は、きちんと編集を許可しない設定になっていました。文書の作成者のところにはその外部企業の名前がはいっていて、ちゃっかりしてるなという感じ。
PDFの暗号化マニュアルも頂いたし、調べるとAdobe公式のヘルプにもいろいろ載ってたので、よく読んで今後のPDF文書作成時に活用してみたいと思います。
PDF にセキュリティを設定する方法 (Acrobat DC) PDF 文書にパスワードを設定する方法 (Acrobat XI/DC) パスワードによる PDF の保護
受信するときの注意点
- Acrobatはサンドボックス化されているので不正プログラムを隔離できる(デフォルトで保護モードON)
- 常に最新版にアップデートして使用する
AcrobatによるPDFの活用
スキャンデータの活用
- スキャンデータを「スキャン補正」メニューからOCRかけられる
- 複数ドキュメントもまとめてやれる
- スキャン検索、テキストのコピペなどもできるように
編集
- 元文書がなくても編集できる
- 表の書式も維持してコピーできる
- 「PDFを書き出し」でオフィスにできる(pptならスライドマスタやフォントもすべて継承できる)
- 元文書の制作ソフトもオフィスならレコメンドしてくれる
※ただしAcrobatで作成したPDFならね!
共有
- 複数ファイルをAcrobatでPDFに結合できる→「各種資料一式」みたいのはzip化する以外にPDF化という手も。ケースバイケース
- 「送信とトラック」でAdobeクラウドにアップしてリンク生成できる→閲覧状況(PV)やDLの有無も確認できる
- クラウド上のファイルにスタンプ、付箋、ハイライト(相手がAcrobatを導入してないとダメ?)
電子サイン
- 社内の承認フローとかでは便利なんでしょう
- 署名フィールドを付けて送信できる
- 受信側はAcrobatを導入している必要はない
- 監査レポートが付いてきて利用者の本人性が担保される
- NDA書類とか契約書にめっちゃ便利やんけ
- 本人署名もあるぽい
モバイル版
- モバイル版ビューア(Adobe Acrobat Readerモバイル版アプリ)
- 写真で撮影した画像をPDF化できるアプリ(Adobe Scan)
セッション2:フォントのキホン知識+TYPEKIT
FontGrageとAdobeTypeKitの担当者のお二人によるセッション。フォントのライセンス周りの話で、勉強になりました。
あと関係ないけど価格comでシェアをサーチできるというのが気付き。 価格.com – トレンドサーチ 市場調査を支援するマーケティングサービス
フォントの著作権
- フォントの美術の著作物としての著作権は明確に認められておらず、判例でも認められないことが多い
- フォントデータのプログラムとしての著作権は認められるのでデータのコピーや配布はNG
- フォントの購入=フォントの利用権の購入
▼参考
ややこしく分かりにくい『フォントの著作権』について、まとめてみるex)タイプフェイス事件(ゴナU事件)
- 写研がモリサワの「新ゴシック体U」と「新ゴシック体L」は「ゴナU」と「ゴナM」の著作権を侵害するとした
- 一般的なフォントは既存の「文字」の枠内で制作され、「万人にとって読み易いという文字本来の情報伝達機能」が重視されることから美術の著作物とは言えない
- 「ゴナ」は従来からあるゴシック体のデザインから大きく外れるものではないため、独創性及び美的特性を備えているということはできない
- それ自体が美的鑑賞の対象となる「書」の範疇に入るようなオシャンティーデザイン書体は美術の著作物として著作権保護を受けうる
▼参考
タイプフェイス事件 牛木内外特許事務所使用許諾
- 許諾はメーカーで異なり、フォント本体の購入代金とは別に費用が発生する契約になっている場合がある
- 印刷物はフォント代金のみで別途費用がかかることはまずない
- 埋め込みなどフォントデータが拡散するような使い方は基本的に制限される
- セミナーロゴタイプ(商標登録)の場合は別途費用が発生する場合がほとんど(商標登録なしでもロゴタイプとしての使用には費用かかるメーカーもある)
- 電子書籍等も、印刷物とは別物で二次使用扱いになり別途許諾が必要な場合が多い
- WEBでは画像化する分には基本的にOK
TYPEKITのライセンス
Typekit ヘルプ | Typekit のフォントライセンスTYPEKIT経由で利用する場合、TYPEKITのライセンスにが各社のライセンスに優先される(しかも緩い)ので使いやすい。以下気になるポイントの抜粋。
- ロゴや画像としての利用は、クライアントワークでの利用も問題なし
- フォントのデザインを編集するのもOK
- WEBフォントを顧客のサイトに使用する場合はビジネスプランが必要
- 第三者がフォントをインストールしたり、文字情報を編集できるアプリケーション的な使い方は別(別途ライセンス)
あとなんかDTPでは一部注意が必要という情報もある模様。
TypekitのDTP利用には注意が必要 – ちくちく日記まとめ
当日はちょっと早めに着いたので、セミナーの部屋が開くまで、同じフロアでやってた別業界の技術展示イベントを遠巻きに眺めていたところ、受付のお姉さんに「受付をお願いします!」と絡まれてちょっと辟易。
- 僕「別イベントに来たのです」
- 受「皆さん受付頂いてますので!」
- 僕「いや、向こうの部屋の別イベントに来て、開場までの時間をつぶしているだけです」
- 受「ではとりあえず受付だけでも!」
- 僕「おたくとは関係ないセミナーなんですけど…」
- 受「では少々お待ちください!」
- 僕「何を…?」
※このあと他の受付の人に助けてもらいました
この出来事からなんらかの教訓を得たと書こうと思いましたが見当たりませんでした。精進します。
代わりに、セミナー前に打ち合わせを兼ねて食べたマウンテンカツカレーの画像を置いておきます。味はひたすら唐辛子で地獄の汗が吹き出す感じでした。辛い(からい)っていうか辛(つら)かった。
あとこれはノベルティで頂いたCCロゴ入りストレッチチューブです。使わないボールペンとかよりうれしいですね。そのような感想でした。精進します。