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【読んだ】三国志 (吉川英治)

2016年6月8日

吉川英治による三国志。

新免姓なら一度は読んでおきたい小説ランキング第1位(野良人調べ)の宮本武蔵でお馴染みの吉川英治。武蔵以外読んだことなかったのでちょっと読んでみたかったのと、三国志もちゃんと読んだことなかったので挑戦。

序文にはこうある。

三国志には、詩がある。
単に厖大な治乱興亡を記述した戦記軍談の類ではない所に、東洋人の血を大きく搏つ一種の諧調と音楽と色彩とがある。
三国志から詩を除いてしまったら、世界的といわれる大構想の価値もよほど無味乾燥なものになろう。
ゆえに、三国志は、強いて簡略にしたり抄訳したものでは、大事な詩味も逸してしまうし、もっと重要な人の胸底を搏つものを失くしてしまうおそれがある。
で私は、簡訳や抄訳をあえてせずに、長編執筆に適当な新聞小説にこれを試みた。そして劉玄徳とか、曹操とか関羽、張飛そのほか、主要人物などには、自分の解釈や創意をも加えて書いた。随所、原文にない辞句、会話なども、わたくしの点描である。
三国志(吉川英治)

他の三国志や原典(本書は三国志演義を原作としている)を読んだことがないので、どの部分が吉川英治による”自分の解釈や創意”なのか、どの程度原作通りなのかが判然としないので、そういった部分で評価し辛いが、上記で”詩”と表現する通り、猛烈なテンポで謳いあげる文章の”一種の諧調と音楽と色彩と”に大いに”東洋人の血を大きく搏”たれた感がある。

良かった点

  • とにかく勢いよくグイグイ引き込んでくるので一気に読める。純粋におもしろい。原文が漢文だからなのか、詩的でリズム感がある。
  • あとでAmazonレビューなどを見て知ったが、初めて読む三国志には最適とのこと。たしかに、一つ一つのエピソードが印象的なので、三国志の長いストーリーがなんとなく頭に残る。
  • どっかで出てきた「軍律はあれども威令が添わない」の表現。ルールを決めても、守らせることができなければ意味がない。自己管理のために目標やルールを決めても、守ることのできない自分のようであった。

しんどかった点

  • 裏切り、謀略、闇堕ち、でサクサク人が死にまくるので気が重くなる部分も。特に序盤はそれを強く感じた。あと劉備にもてなす食事がないからと、妻を殺して人肉を食わせるくだりは理解の埒外でしんどかった(著者も註を入れて、「すげー迷ったけどあえて載せてみました」と記しており、悩んだ様子がうかがえる)。
  • 人の名前がなかなかわかり難い。似たような名前多すぎ。しかも不意に降って湧いたくせに、あたかもずっと前から登場していたかのような顔してる人物もいるから侮れない。
  • 土地感が全く分からない。巻末に地図もついているが、載ってない地名の方が多くてどういう情勢か分かりにくいので、たまに戦況をイメージできずに見失う。日本の歴史モノなら、なんとなくの地図をイメージできるがやはり外国のものはその辺の予備知識もあったらよいのかも。都度ググってもいいけど。

どうでもいいけど、劉備・関羽・張飛の3名は、実家に漫画が置いてあった「天地を喰らう(本宮ひろ志)」で自分の脳内で再生されてしまうため、やや暑苦しかった。

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